サッカーの人気が高まるにつれて目の肥えたサッカーファンが多くなってきています。ポゼッションやバイタルエリアなどのサッカー用語は専門的かつ一般的になっています。今回はその中でも、サッカー未経験者には聞きなれないリトリートについて紹介します。
リトリートとは
撤退を意味するリトリート(Retreat)とは、サッカーでは自陣内で守備を固める戦術『引いて守る』を意味しています。以前紹介したプレッシングとは対をなすような守備戦術にあたります。ボールを積極的に奪いに行くプレッシングとは異なり、ゴールを守ることを目的としています。
とはいってもリトリートしたらプレッシングをしないわけではなく、守備にとって数的有利な状況が作りやすくなりますので、チャンスがあればボールを奪いに行くことも大事でしょう。相手陣内でボールを奪いに行かない、高い位置からプレッシャーを掛けないようにするのがポイントになります。
リトリートのメリット
広いサッカーコートに対してサッカーゴールは非常に狭いです。コート全体にまんべんなく選手を配置して守るより、ゴール前を徹底的に固めた方が失点のリスクは少なくなります。つまり、リトリートのメリットは自陣内の危険なエリアで相手にプレーさせないよう、壁を作ることですね。
壁といってもチームによって様々です。極端に力の差があるようなチームが一方的な試合をすると、5人も6人もDF(ディフェンス)にいるような、まさに壁の形になります。力の差がない場合でもリトリートすれば、自陣内で相手がプレーできるスペースがなくなるため、守備にとっては有利な状況を作り出せます。
カウンターを狙う
さらにもう一つ大きなメリットがロングカウンターにあります。自陣内で守るということは相手を誘い出すことになります。ボールを奪ったら手薄になった相手陣内に素早く攻めることで大きな決定機を作り出せます。
リトリートの効果・有効性
リトリートは特に力の差が大きい強い相手に有効な守備戦術です。点を取られなければ負けることはないので、カウンターで1点取ればOK、最悪でも引き分けを目指すならリトリートでもいいでしょう。実際に日本代表も格下相手に勝ちきれない試合を多くしています。それでも得点を挙げなければならないところではありますが、それほどリトリートした相手から得点を奪うことは難しいといえるでしょう。
リトリートのデメリット
失点のリスクの少ない強固な守備ができるリトリートですが、相手が積極的にゴールに向かってくるような攻撃を仕掛けてこない場合にはボールを奪うのが難しく、守備の時間が長くなります。(ボール支配率が短くなる。)既に得点を許してしまっている場合には相手に時間稼ぎのボール回しをさせてしまうことにもなりかねません。
リトリートのポイント
リトリートはチーム全体で共有すべき守備戦術です。プレッシャーを掛け始める位置やDFラインの高さなどを事前に決めておかなければなりません。さらに負けているときはどうするのか、試合の序盤ではどう戦うのかなどもポイントになるでしょう。
リトリートが分かる具体的な動画です。ボールは完全に支配されていますが、ゴールに迫られるようなリスクが見られません。