サッカーのポジションには様々な呼び名があり、英語だけではなくポルトガル語やイタリア語などが混ざっているので非常に覚えにくいですよね。そんな中で今回はサッカー中継でよく聞くボランチについて掘り下げていきます。
アルゼンチンではボランチでプレーすることがサッカーへの理解を最も深めると考えられているくらい大事なポジションなので、その役割と戦術について詳しく紹介したいと思います。
ボランチとは
ボランチ(volante)とは、ブラジルで使われているサッカー用語で、守備的ミッドフィルダーのことを指します。ポルトガル語でボランチとはハンドルを意味していて、何かをコントロールするものを比喩的に表現しています。
つまりサッカーでは中盤の中央から攻守にチームや試合をコントロールするミッドフィルダーのことをボランチと呼びます。ちなみに守備的ミッドフィルダーをボランチと呼ぶのは日本とブラジルぐらいです。
一般的にはディフェンシブミッドフィルダーやセンターハーフ、ディフェンシブハーフなどと呼ばれます。MF(ミッドフィルダー)については下記の記事を参考にしてください。
反対に攻撃的ミッドフィルダーをオフェンシブハーフ、オフェンシブミッドフィルダー、トップ下などと呼びます。キャプテン翼の大空翼くんのポジションは攻撃的ミッドフィルダーにあたります。(ジュニアユース以降)。10番・司令塔・ゲームメーカーとして活躍することが多いサッカーの花形的ポジションです。
ボランチに必要なテクニック
フィールド中央に位置するボランチでは、前後左右から相手がボールを奪いにくることになりますので、ボールを受けたときに常に周囲を警戒する必要があります。
仮にボランチがボールを奪われてしまうと、あとは最終DFラインしかないわけですから、かなりのピンチに陥ってしまいます。
そうならないよう、ボールを足元に置きつつ、周囲を見渡し、相手DFを警戒し、攻撃の組み立てをするわけです。そのためにはボールを受ける前から次のプレーを予測し、素早い判断で行動することが求められます。
- ボールを奪われないキープ力
- ボールコントロールしつつ周囲を見渡すテクニック
- 素早い判断
- 攻撃の組み立て、戦術理解
DFラインでボールを回しながら攻撃を組み立てるビルドアップにも積極的に参加します。ボランチがいなければ、ほぼ成り立ちません。
ボランチの守備
守備的ミッドフィルダーという名称からもボランチの守備における重要性は高いものといえます。中央のスペース(バイタルエリア)は相手に自由にプレーさせるには危険であり、未然に防いでおく必要があります。
また中央のみではなく、サイドバックがオーバーラップして空いたスペースにはカバーをして相手攻撃をストップしなければなりません。
つまり、サッカーにおいて勝敗を決する重要なエリアでプレーし、かつ味方のフォローをしなければならない。チームの中でも優秀な選手を起用されることが多いのがボランチというわけです。
またボランチはGKのように、1つのチームに1人というわけではありません。2人の場合をダブルボランチ、1人の場合をワンボランチと呼びます。
ダブルボランチの役割分担
ダブルボランチの二人は相互補完しあう役割を与えられて違うタイプでコンビを組むことが多いです。守備ではボールを奪うハンタータイプの選手とスペースを埋めるバランサータイプの選手。
攻撃では後方で組み立てに関与するビルドアップタイプの選手とゴール前に進入して得点を狙うボックストゥボックスタイプの選手に分かれます。
分かりやすいコンビでは日本代表の遠藤保仁と長谷部誠。ブラジル代表のドゥンガとレオナルド。イタリア代表のガットゥーゾとピルロが有名。
ワンボランチの役割
ボランチを一人でプレーする時にはワンボランチもしくはアンカー(Anchor)と呼ばれます。アンカーは英語で錨(いかり)を意味します。
中盤の底でプレーするアンカーの主な役割はセンターバックの間を埋める動きをしたり、バイタルエリアに来るボールを遮断して、後方のビルドアップの中心となることです。
アンカーのタイプには、分かりやすく言えばブスケツタイプとマケレレタイプがあります。
ブスケツとはバルセロナのアンカー。後方のビルドアップを担い、ボールを失った時にすぐにアプローチして攻撃の芽を摘む役割です。
マケレレとは元フランス代表のアンカー。ディフェンスと中盤の2ライン間を封鎖してボールを奪う役割です。
最後に
今回はボランチについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
ボランチというポジションは大まかに組み立て型、バランサー型、ファイター型、攻撃参加型の4つに分類できるので、好きなボランチの選手を観察して分類してみるのも面白いでしょう。また、1試合ボランチを見続けるという観戦方法もチーム戦術がわかりやすいのでおすすめです。