サッカーは足でボールを蹴るスポーツと理解されがちですが、実際に特定の1人の選手がボールに触っている時間は非常に短くなっています。そのためオフ・ザ・ボールの動きがボールを足でコントロールすること以上に重要なファクターであるといえます。今回はオフ・ザ・ボールとは何かについて紹介していきます。
目次
オフ・ザ・ボールとは
オフ・ザ・ボールとは、ボールを保持していない攻撃側の選手あるいはその状態のことを指します。オフ・ザ・ボール時には次のパスを受けるための準備をしていなくてはなりません。これに対してボール保持者はオン・ザ・ボールといいます。
オフ・ザ・ボールの目的
ボールを保持していない選手は積極的に動き出すことが求められます。当然ですが、闇雲に走り回っても効果はありません。パスコースを確保するため、マークを外すため、相手を引きつけスペースを空けるためなどの目的に応じた動き方が必要になります。
オフ・ザ・ボールの重要性
サッカーは11人対11人のスポーツです。もちろんサッカーボールは一つだけです。時間は90分ですので単純に考えても1人当たり4分程度しかなく、かつルーズボールやアウトオブプレーの時間を考えれば更に少なくなります。一般的にボール保持時間は一人当たり1-2分と言われていますから、残りの時間はオフ・ザ・ボールになります。これだけでも、いかに重要かが分かりますよね。
オフ・ザ・ボールの動き
先に挙げたようにオフ・ザ・ボールの動きには目的があります。目的別に紹介してます。
パスコースの確保
相手DF(ディフェンス)はパスコースを塞いで攻撃の妨害をしてきます。それはボール保持者にアタックしているDFであったり、パスを受ける人をマークするDFであったりします。その時にスペースを見つけて動き出しパスを受ける動きが基本的なオフ・ザ・ボールの動きです。
マークを外すため
基本的に走り回っていればマークは外れやすくはなりますが、ここでは特にパスを受ける人とそれをマークするDFとの駆け引きについて紹介します。ボールを受けやすくするためには、わずかでもいいのでDFからのプレッシャーを遅らせることが大事です。具体的には『相手の視野から消える』、『チェックの動き』が考えられます。
相手の視野から消えるためには、DFの背後に回ることが有効です。この際オフサイドポジションになっても構いません。大事なのは一度・一瞬でいいのでDFから隠れることです。DFは常にボールとマークを同一視しようとしていますが、特にボールに集中しがちです。マークが自分の背後にいってしまうと同一視することができず、見失ってしまうのです。その機会を見逃さずにボールを受けることができればチャンス創出につながります。
また『チェックの動き』もマークを外すためには有効です。チェックの動きとは、簡単に言えばフェイントです。右でパスを受けると見せかけて左で受ける、裏のスペースで受けると見せかけて足元で受けるなど、とにかく一瞬でも相手のプレッシャーを遅らせてボールを受ける動きです。
相手を引きつける・スペースを空ける
上記に挙げた2つのオフ・ザ・ボールの動きはパスを受けるための動きですが、パスを受けない人もオフ・ザ・ボールの動きが必要です。正確には次にパスを受けても受けなくてもいい動きにはなりますが、それでもDFには対応が求められるので攻撃のスキを作ることができます。
チェックの動きなどは細かい動作で相手を揺さぶるためのアクションですが、自分ではない別の味方選手がパスを受けられるようスペースを空けるためには大きなアクションが必要になります。ボールから大きく離れたり、裏のスペースに抜け出してみたり、パスがもらえなくても大きく動き出すことがスペースを生み出します。
ストライカーはオフ・ザ・ボールの動きが上手い
ゴールした選手が「いい所にいた!」と表現することがありますが、これはオフ・ザ・ボールの動きが上手いためであり、偶然ではありません。いい所にただいるだけでは決して点は取れません。特にFW(フォワード)は1試合中に何度もボールに触れる機会がなくプレッシャーも厳しいポジションなので、ワンタッチでゴールできるポジショニングが大事なのです。つまり点を取れるFWは、ゴールするためのオフ・ザ・ボールの動きがしっかりしているということなのです。