今回は現在サッカーの戦術の基本であるゾーンディフェンスについてまとめてみます。
ACミランのアリゴサッキ監督によって作り上げられて、世界中のサッカーチームの守備の基本となっているゾーンディフェンスを理解しましょう。
ゾーンディフェンスとは
サッカーにおけるゾーンディフェンスとは、スペースを埋めながらディフェンスする守備戦術のことです。少し分かりにくいですが、対になる言葉にマンツーマン、マンマークというものがあります。マンツーマン、マンマークは言葉の通りですが、特定の人に対してマークにつくことを意味しています。
対になる、と述べましたが、どちらが優れているということではなく状況に応じた守備が必要であり、また守備戦術のひとつとしてチームでの理解も必要になります。特にゾーンディフェンスはチームで連携して動くことになるので、実践で使用する前にしっかりとした準備、練習が大事になります。
サッカーではゾーンディフェンスが基本であり、マンツーマンで守備をすることは少ないといえます。常にマンツーマンでディフェンスをすると、スペースを空けてしまい、相手に自由にプレーさせることにつながるからです。マンツーマンはゴール前やセットプレーなどで見られる守備といえます。
ゾーンディフェンスの種類
ゾーンディフェンスにはディアゴナーレとスカラトゥーラという種類があります。
ディアゴナーレ
ボールを持っている選手に対してまず一人が寄せていきます。その時、できたスペースを埋め、ドリブル突破を許した際のカバーリングのポジションをとるために寄せに行った選手の斜め後方に移動する動きのことをディアゴナーレといいます。
2対2や3対3の局面ではチャレンジ&カバー(カバーリング)という言い方もします。ボールに寄せた選手の斜め後ろを埋めるのは、守備の鉄則ということですね。
ディアゴナーレという用語は覚えなくても良いですが、「斜め後ろ」は守備の局面では常に頭に入れておいてください。
スカラトゥーラ
ディアゴナーレでボールに寄せた選手の斜め後方を埋めると、この斜め後ろに移動した選手が空けたスペースが生まれます。
このスペースを全体の布陣をボール方向に対してコンパクトに縮めるようにして埋める動きのことをスカラトゥーラといいます。
相手が持っているボールと、自陣ゴールを結ぶ直線ルートに集結し、中央に対するディフェンスの密度を高めます。
馴染みの薄い言葉であまり使われませんが「スライド」「コンパクト」という言葉が守備の時に出た時はスカラトゥーラのことを言っていると思ってください。
ゾーンディフェンスの注意点
ゾーンディフェンスを行っている時に意識しなければいけないことは、相手選手ではなくボールの位置によってポジショニングが決まり、ボールの位置によって体の向きを決めるということ。
ボールの位置を基準にすることによってチーム全体で統一が取れて死角をつくらないで守ることができます。
また、ポジショニングを移動するタイミングはボールが移動している時で相手にボールが渡ると止まり、ボールホルダーの視線が上がり、パスを出せる体制になるとディフェンスラインを下げる準備をします。(裏に抜けだされるのを防ぐため)
そして、相手がボールを下げたり、大きくサイドチェンジしたり時間の余裕があるタイミングではディフェンスラインを上げて相手をゴールから遠ざけます。
選手間の距離は等間隔が望ましいですね。
このようにゾーンディフェンスのポジショニングはボール>味方>相手という優先順位であり、守備のイメージとして根強い相手を見る意識が強いとうまくいきません。
ゾーンディフェンスの反対の守り方であるマンツーマンではこの優先順位は真逆です。
現代サッカーではゾーンディフェンスとマンツーマンを両立させる比率がチームごとに異なるだけで対立する概念ではなくなっています。
どちらの発想でも守れるようになり、試合の局面に応じて使い分けることが必要となってきますね。
ゾーンディフェンスの練習法
有名なゾーンディフェンスの練習法は4人のディフェンスライン、4人の中盤のラインにそれぞれ等間隔に選手を一つのローブで繋いで、守備練習をする方法です。
選手が等間隔にディアゴナーレ、スカラトゥーラをするための練習です。
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この写真はハリルホジッチ監督が日本代表に就任してすぐの合宿で行ったロープを使ったゾーンディフェンス練習です。
このロープを使うゾーンディフェンス練習は育成年代向けの内容なので代表チームで行うことは異例。
それだけ日本サッカーはゾーンディフェンスの習熟度が低いと見られていたということですね。
最後に
今回はゾーンディフェンスについて紹介しました。
ゾーンディフェンスが理解できるとサッカー観戦の際も守備の面白さを感じられるようになるでしょう。